三人の女が織りなす、持たざるものへの渇望『夜の向こうの蛹たち』
この嘘は誰かを不幸にしていますか?
百合濃度
『夜の向こうの蛹たち』
著/近藤史恵(こんどうふみえ)
装画/平野美穂
出版/祥伝社文庫
小説家の織部妙は、”美人作家”として話題の新人、橋本さなぎの処女作に衝撃を受ける。
しかし、織部の興味を惹いたのは、文学賞のパーティーで対面した橋本の秘書である初芝祐という女性だった。
初芝への気持ちを持て余す織部は、やがて「橋本さなぎ」の存在に違和感を抱くようになる。
その小さな疑惑は開けてはならない、女同士の満たされぬ欲望の渦への入り口だった……。
・うらやましいと思う人がいる
・レズビアンが主人公の話を読みたい
・サスペンス初心者
才能、容姿、持たざる者たちが生む嫉妬と猜疑心。
『夜の向こうの蛹たち』はこんな人にオススメ
うらやましいと思う人がいる
あなたが「うらやましいなぁ」と思うのはどんな人でしょうか?
憧れの容姿をもった人? お金持ちな人? それとも才能がある人?
では、自分がそれを持っていなかった場合、どうするでしょうか。
このお話に出てくる女性は「しょうがない」とあきらめるのではなく、なんとかしようとするのです。
その方法が正しいかどうかはさておき…。
レズビアンが主人公の話を読みたい
レズビアンの主人公・織部の一人称でお話が進みます。
織部のお仕事仲間として、男性作家が登場するのですが、
織部と彼の友人関係の心地よさにも注目してほしいです。
サスペンス初心者
この作品は主人公・織部と、新人作家、その作家の秘書、
三人をメインにして物語が進みます。
「新人作家にもう秘書がいるの?」
そんな小さな疑問からじわじわと広がる「?」や、
織部の恋心のゆくえ、三人のあやうい関係性に目が離せません!
『夜の向こうの蛹たち』感想、好きなポイント
答えのない現代文のテストを解いているような作品でした。
どうして織部の恋心はこうなってしまったんだろう?
どうして彼女はこの選択をしたのか?
を、読み終わった余韻にひたりながら考えました。
はたまた、どうして作者はこの出来事を書いたんだろう?と思う部分もありました。
ネタバレしないように書くと回りくどくなっちゃいますが、
サスペンスのハラハラ感もたっぷり味わえて
私はとっても好きな作品なのでぜひ読んでほしいです!
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