あなたと、自分と、向き合い続けた27年の軌跡『ののはな通信』
ふたりの女性の長きにわたる交流を、書簡形式で綴る長編小説。
百合濃度
『ののはな通信』
著/三浦 しをん
装画/布川愛子
出版/KADOKAWA
ののとはな。
横浜の高校に通う2人の少女は、性格が正反対の親友同士。
しかし、ののははなに友達以上の気持ちを抱いていた。
幼い恋から始まる物語は、やがて大人となった2人の人生へと繋がって……。
・学生百合から大人百合まで見てみたい
・スッと胸に入ってくるような言葉を味わいたい
・酸いも甘いも味わいたい
何度も離れた。けれど、心の中にはずっとあなたがいた。
『ののはな通信』はこんな人にオススメ
学生百合から大人百合まで見てみたい
ののとはなの出会いはお嬢様学校。
ふたりの手紙の交流は、空白期間がありながらもなんと27年続きます。
学生のうちだけを描くのではなく、
また大人の日常の一部をきりとったのでもありません。
女の子が女性になっていく、
地続きの生活をふたりの手紙を通して感じ取ることができます。
スッと胸に入ってくるような言葉を味わいたい
ののも、はなも、それぞれの感性で
愛や恋や友情を綴ります。
自分の気持ちと向き合い、それらを言葉にする。
時に感情的に、時に詩のような美しさで。
人の心や在り方を表現する言葉は
こんなにも多様なのかと感動します。
酸いも甘いも味わいたい
ののとはな、想いが通じ合うこともあれば、裏切りやすれ違いもあります。
それでも確かに愛し合った記憶を胸に、ふたりはそれぞれの道を進みます。
幕引きは賛否両論のようです。
この幕引きに読了を後悔したという声もTwitterで見かけました。
酸いも甘いも受け入れる覚悟のある方はぜひ読んでみてください。
『ののはな通信』感想&好きなポイント
ちょっと大人な砂糖菓子みたいな作品だな、と思いました。
砂糖の甘さを味わっていたら、中から苦いお酒が出てきてびっくりしたけど、
そのお酒の味もきらいではない…みたいな…。
ののとはなのように、ここまで言葉を尽くして語り合える人がいるのは、
奇跡に近いと思います。
その奇跡の美しさと残酷さをなぞる体験は貴重でした。
自分の想いを、たいせつな誰かに伝えるときには
きっとこの作品を思い出します。
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