百合好きには最悪の仕掛けが襲う黒歴史ミステリ『私はだんだん氷になった』
顔を見たこともない相手への恋。それが悲劇の始まりだった。
百合濃度
『私はだんだん氷になった』
著/木爾チレン(きなチレン)
イラスト/紺野真弓
出版/二見書房
最愛の父は、エベレスト登頂間際で猛吹雪に巻き込まれ凍死した。
氷織の唯一の生き甲斐はアイドル・四宮炭也の推し活だけだった。
だが感染病流行によって推しのライブが中止になったことをきっかけに、
氷織は推しの「なりきり」とのやりとりにのめり込むようになる。
・夢小説やなりきりに興味がある
・クロスオーバーが嬉しい
・黒歴史がある
現実は辛すぎるから、あの人にすがるしかなかった。
『私はだんだん氷になった』はこんな人にオススメ
夢小説やなりきりに興味がある
作中の女性たちが夢中になるのは、
国民的男性アイドルグループのメンバー、四宮炭也。
本作品は
四宮炭也の「なりきり」をする女性と、
その「なりきり」とやり取りをする女性が出てきます。
独特の文化が根付いているのは、
やはり相応の沼があるからで…。
クロスオーバーが嬉しい
著者の前作『みんな蛍を殺したかった』に
出てくるワードがちらほらと登場します。
(もちろん、前作を読んでいなくても楽しめます)
今回も実在するアニメや人物のオマージュが出てくるので、
それに気付くのもひとつの楽しみです。
黒歴史がある
黒歴史って、誰かに話して「痛いww」って笑えるタイプと、
誰にも言えない、墓場まで持っていくタイプがあると思います。
本作品の言う黒歴史は後者です。
自分ひとりで闇を抱えた人間はどうなってしまうのか。
彼女たちの選択を見届けてください。
『私はだんだん氷になった』感想&好きなポイント
すっっごく辛かったです!
愛の一方通行のオンパレードです…。
つながったように見えても、それは結局、氷にもなれず霧のように散ってしまって…。
だからこそラストの展開に希望を抱かずにはいられません。
百合的には最悪な仕掛けが待ち受けているので、
正直、百合好きさんに大手を振ってオススメはできません。
夢小説、なりきり、VTuber、登山など、
これらのワードに惹かれる方は覚悟のうえ、読んでみてください。
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