一瞬の煌めきが灰色に澱んでいく『蝶と帝国』
神に、時代に、あの人に、もう想いは届かない。
百合濃度
『蝶と帝国』
著/南木義隆(なんぼくよしたか)
装画/shirone
出版/河出書房新社
20世紀初頭、帝政末期のロシア。
時代の悪意に翻弄された一人の女性の愛と復讐を、新鋭が描破する。
・陰のある女性が好き
・料理の描写が好き
・SF(すこしふしぎ)が好き
何がどうなったら、彼女は救われたのだろう。
『蝶と帝国』はこんな人にオススメ
陰のある女性が好き
貴族の屋敷でエレナお嬢様の相手と、料理を任されているキーラ。
ふたりは恋人というわけではありません。
愛を渡り歩くようにさまざまな相手と関係をもつエレナと、
想いを秘めたまま日々をやり過ごしているかのようなキーラ。
特にエレナは一見すると奔放な女性にみえますが、
過去にとある事件に巻き込まれていて…。
料理の描写が好き
キーラは料理人です。
キーラの作るお菓子やディナー、
彼女が嗜むお酒が、ほんとうに美味しそうに描かれます。
読んでいると、食事を大事に味わいたくなるほど。
それも彼女を取り巻く環境や心境とともに変わっていくのですが…。
SF(すこしふしぎ)が好き
キーラには超能力のような力があります。
SF(すこしふしぎ)な力については特に説明がないので、
ちょっと戸惑いますが、その力はあらゆる場面で活躍します。
キーラがその力を使うのは
大切な人といっしょに居るときだけ…だったらよかったのに。
『蝶と帝国』感想&好きなポイント
この作品がヴェールのようにまとう陰鬱でうろんな雰囲気が好きです。
キーラの求める愛は結局どこにあったのかな、と考えると切ないです。
彼女を慕う友人のひたむきさも悲しい…。
陰鬱なヴェールとは無縁の料理の描写も好き!
キーラも料理の時だけはいきいきしているように感じました。
『蝶と帝国』補足情報
2023年2月に発売された『百合小説コレクション wiz』の帯に
こんなことが書いてありました。
3/21追記
3/31より連載が始まります!
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