戦争で変わらざるをえなかった少女たち『同志少女よ、敵を撃て』
十代、二十代の少女たちが、銃を手に戦場に赴く。
百合濃度
『同志少女よ、敵を撃て』
著/逢坂冬馬(あいさかとうま)
装画/雪下まゆ
出版/早川書房
独ソ戦が激化する1942年。
農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。
ドイツ軍に、母親と村人たちが惨殺されたのだ。
自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。
「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、一流の狙撃兵になることを決意する。
母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。
・緊迫感を味わいたい
・殺伐百合が好き
・話題作をおさえておきたい
戦争のお話ですが、史実に明るくなくても読めます。
どうして敵に攻め入るのにこのような進路をとったのか?などが、人間の感情とともに描かれるからです。
『同志少女よ、敵を撃て』はこんな人にオススメ
緊迫感を味わいたい
情景描写の筆致が凄まじいです。
セラフィマたち狙撃手が敵を狙う瞬間、
戦場の熱と爆音がはぜる空気感…。
思わず息を呑んでしまうような緊迫感が襲ってきます。
殺伐百合が好き
セラフィマは母親の遺体を焼いた女性兵士イリーナのもとで
厳しい訓練に耐え、ともに戦場に向かいます。
復讐を誓った相手から学び、
文字通り命を救われることもある。
戦争の行く末、狙撃手としての成長とともに、
イリーナに対する想いが変わっていく様子に目が離せません。
話題作をおさえておきたい
2022年本屋大賞の大賞、
第11回アガサ・クリスティー賞の大賞受賞作です。
百合好きだけでなく、本好きの中でも大きな話題となっています。
悲しいことに世情も相まってタイムリーな作品となってしまいました。
『同志少女よ、敵を撃て』感想&好きなポイント
セラフィマの目まぐるしい変化がとてもつらかったです。
生きていくために銃を携えていたのは同じなのに、
殺すのは食料となる動物ではなく、人間になった。
登場人物ひとりひとりの物語(たとえすぐ死ぬだろうなとわかっているキャラクターでも)が
しっかり描かれていて、
どのキャラクターにも少なからず感情を持っていかれます。
私はオリガとシャルロッタが好きです…。
はじめは読みながら濃密な戦場描写に圧倒されてしまい、
「これ、百合って言っていいのかな…?」と感じていたのですが、
しっかり百合でした。
『同志少女よ、敵を撃て』は百合です。
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