あなたとエスの関係になりたくて『ミシン』
私は貴方と共に在りたい。
百合濃度
『ミシン』
著/嶽本野ばら(たけもとのばら)
出版/小学館文庫
MILKの洋服を華麗に着こなすカリスマ・ヴォーカリスト、
ミシンに恋する少女の「乙女」としての生きざまを強烈に描く。
・お洋服が好き
・狂信的な愛に惹かれる
・周囲から浮いている
乙女とは、自分の気持ちに正直な、カッコ良い女の子のことなのです。
『ミシン』はこんな人にオススメ
お洋服が好き
実在するファッションブランドを
キャラクターの個性として取り入れています。
『ミシン』に出てくるパンクバンドのボーカル、ミシンはMILKしか着ません。
ミシンに憧れる主人公もまた、ミシンに近づきたくて全身をMILKに包んでいきます。
憧れのファッションブランドがある人は、お洋服の系統が違っても共感できるはず。
狂信的な愛に惹かれる
主人公は偶然テレビで見たミシンとエスの関係になりたいがあまり、
とんでもない行動に出ます。
淡々と語られるためにさらりと読めてしまいますが、
恋は盲目なんて言葉ではおさめられないくらい
彼女の行動はどれも突拍子ないです。
主人公の愛読書、吉屋信子『花物語』やエスについてはこちらの記事をどうぞ。
周囲から浮いている
この作品に限らず、嶽本野ばら作品は
ファッションや思考が一般的ではないゆえに孤立してしまう人への救いがあります。
この『ミシン』の登場人物の生きざまにも、救われる人は必ずいます。
『ミシン』感想&好きなポイント
この作品を端的に言うと
レトロとやさしさと馬鹿馬鹿しさのベールをかけられた殺伐百合
です。
どこか退廃的でおとぎ話のような印象を受ける一冊でした。
私は百合にハマる前から嶽本野ばら作品が好きなのですが、
(彼の作品で一番有名なのはおそらく『下妻物語』です)
この『ミシン』もお気に入りになりました!
『ミシン』補足情報
同時収録されている『世界の終わりという名の雑貨店』は男女の恋愛が描かれています。
百合要素はありません。
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